寵愛の姫 Ⅲ【完】
「大丈夫ですよ、莉茉さん。」
愕然と目を見開く私に、朔は安心させるかのようにふわりと笑った。
暁と同じ瞳。
それに、私の身体の強張りが少しだけ和らぐ。
「莉茉さんは、兄さんのアキレス腱だけど、だからって手離すはずがありませんから。」
「…うん。」
ぐっと、自分の手を握り締める。
大丈夫、それは暁を信じているから、私が揺らぐ事はない。
「俺も、出来る限りの事はするので、莉茉さんは安心して下さいね?」
にっこりと笑う朔の言葉が、凄く心強いと思った。