寵愛の姫 Ⅲ【完】
「莉茉、良く頑張ったな。」
莉茉の手触りの良い髪を撫でる。
………………やっと、帰ってきた。
他の奴等の視線なんか気にならないぐらいの幸福感。
「ふふ、でしょう?」
俺の腕の中で、くすくすと楽しげに莉茉が笑みを溢した。
「「………っ、」」
そんな俺達を、周囲の生徒達のほとんどが驚愕の眼差しで見つめている。
きっと、明日には莉茉の噂が校内中に知れ渡り、色んな話が飛び交う事だろう。
「莉茉。」
「うん?」
俺の胸元に顔を埋めていた莉茉が、ゆっくり上げた。