寵愛の姫 Ⅲ【完】



ふと、頭の中に閃いた妙案に心が傾きそうになるが……。



「…………暁?」



そんな俺の格闘も知らず、不思議そうに首を傾げる莉茉に、何とか思い止まらせる。



「いや、何でもねぇ。」



せめてもと、莉茉の甘い香りを堪能しようと華奢な身体を引き寄せた。



「莉茉、今から実家に行く。」


「……、実家って、暁の?」
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