寵愛の姫 Ⅲ【完】

傲慢ー大雅sideー



「娘を返して頂きたい。」



広い第2会議室に揃った、水瀬一家。





椅子に座った莉茉ちゃんの父親の第一声が、まず、それだった。



「………、」



ちょっ。



え、挨拶はなし!?





目を見開いた俺は、呆れるを通り越して、彼に感心するしかないんだけど。



「………………娘、ですか。」



低い暁の声。




傲慢な顔で宣う莉茉ちゃんの父親に、向かいの席に座る暁から、とてつもなく冷たい空気が流れ込む。
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