寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
………………キレてる。
俺でも分かった。
ーーーーーーのに。
「えぇ、“あれ”は、私の娘です。」
馬鹿は気が付かない。
思わず、ガン見。
っっ、ゆ、勇者がいたよ。
父親が莉茉ちゃんを“あれ”呼ばわりした瞬間、ぴくりと暁の眉が跳ねる。
「………………………ほう、娘さんを“あれ”呼ばわりされるのですね。」
くつりと、暁が口角を上げるけど、莉茉ちゃんの父親に向ける目は、全く笑っていなかった。