寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………っ、あんな子と、高崎さんは釣り合わないと思いますわ。」
「………、」
その悲鳴のような甲高い声に、じっと凝視していた妹から、はっと視線を俺が向ければ。
莉茉ちゃんの母親は、滑稽なぐらいなまでに、ぶるぶると手を震わせていた。
「ーーーーそう、よ。」
莉茉ちゃんの妹の肩に手を置いた母親は、乾いた笑みを浮かべる。
「あんな子より、茉莉ちゃんの方が高崎さんには、お似合いじゃないかしら?」
さも名案とばかりに、期待と欲を孕んだ瞳を、莉茉ちゃんの母親は輝かせた。