寵愛の姫 Ⅲ【完】


「………っ、こちらは、君を訴えても良いんだぞ?」



かっと、顔を赤く染めた莉茉ちゃんの父親が、暁へと食い下がる。



「………………ほう、私を訴えると?」



「あぁ、そうしたら、もう2度と私の娘に会わせなくて済むからな。」




ほくそ笑む、莉茉ちゃんの父親。







その瞬間。



暁の顔から、一切の表情が消え失せた。



「水瀬さん、どうぞ、ご自由になさって下さい。」



表情を消した暁が、ゆっくりと、座っていた椅子から立ち上がる。




ーーーー冷たい目を向けたまま。
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