寵愛の姫 Ⅲ【完】
「水瀬さん、私が妻にと望むのは、莉茉さんしかいない事を、覚えておいて下さい。」
「………あぁ。」
力なく頷く、莉茉ちゃんの父親。
それに黙っていない人間がこの場に1人、いる訳で。
「あ、あんな子のどこがっーーーー」
口を開いた莉茉ちゃんの母親に、暁は冷たい目を向ける事で黙らせる。
「っっ、」
そして、言葉を切った莉茉ちゃんの母親は、暁の目を見た瞬間、顔を強張らせた。
蛇に睨まれた蛙。
きっと彼女は、それを今、体験している事だろう。