寵愛の姫 Ⅲ【完】
「ーーーーー黙れ。」
向けられるのは、静かな怒気。
「俺の大事な莉茉を侮辱するなら、いくら母親だろうと、容赦はしないぞ?」
「っっ、」
ひたりと合った暁の怒気を孕んだ目に、莉茉ちゃんの母親は、肩をびくつかせる。
「次はないと思え。」
暁の警告の通り、彼女に次はない。
莉茉ちゃんに牙を向けた瞬間、身の破滅が待っている事だろう。
「っ、私、そんなつもりじゃ…。」
莉茉ちゃんの母親が、あまりの暁の怒気を目の当たりにして、目に涙を溜めた。