寵愛の姫 Ⅲ【完】

弱さ



「………………………ねぇ、暁?」



暁に髪を弄られながら、私は首を傾げる。



「うん?」


「………、今日、何かあった?」


「………。」



その瞬間、ぴたりと、私の髪を弄っていた暁の手が止まった。



「ーーーーえ、違った?」



焦るんだけど。




慌てて、暁を見上げる。



「………………何で、莉茉は、そう思った?」



そうすれば、真剣な顔をした暁が、私をじっと見下ろしていた。
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