寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っ、暁…?」
黙ったまま、力強く抱き締められて、困惑する。
こんな弱々しい暁の姿を、私は初めて見た。
「ーーーーねぇ、暁。」
ゆっくり、暁の髪を撫でる。
この人が、本当に愛おしい。
ーーーーーそう、思った。
「本当に、どうしたの?」
強くて。
自信に溢れた貴方が、こんなにも揺らぐなんて。
………………嬉しかった。
私だけに、素の自分を見せてくれているんだって。
愛おしさが沸き上がったの。