寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
目の前が、真っ暗に陥るような、そんな感覚。
胸が痛い。
私の心が、悲鳴を上げる。
………………また、茉莉に私の全てを、奪われるのかな?
ばらばらと、半身である暁を失う恐怖感に、胸が不安に波打つ。
「………、娘を返せと言われた。」
「………………は?」
思っていなかった事に、まじまじと暁を凝視する。
「………娘?」
ははっ。
笑っちゃう。
一番、私をそう思っていないのは、貴方達じゃないか。
身勝手な両親に、沸き上がったのは、怒りだった。