寵愛の姫 Ⅲ【完】

覚悟ー暁sideー



「………………莉茉…。」


そっと、流れ落ちる莉茉の涙を拭う。






歓喜に、胸が震えた。






莉茉が両親よりも、俺を選んでくれたって事に。






ーーーーーその事実に、安堵したんだ。



「………っっ、暁…。」

「あぁ、俺は、ここにいる。」



………お前の側に。




しがみ付く莉茉を、そんな思いを込めて、俺は強く抱き締めた。








ーーーー渡さない。




誰にも、莉茉だけは。






あの、糞のような両親にさえ、返すものか。
< 331 / 469 >

この作品をシェア

pagetop