寵愛の姫 Ⅲ【完】
「お前が帰る場所を、俺だけにすれば良い。」
ーーーーさぁ、悪魔の囁きを。
莉茉を手に入れる為なら、俺は何でもするだろう。
この身を血に染めても、一向に構わない。
「………………、暁、それって…。」
目元を真っ赤にした莉茉が、俺を見上げる。
しゃっくりを繰り返す愛おしい女に、ふっと、笑みを浮かべ、その額に口付けた。
なぁ、莉茉。
堕ちてこい。
俺のいる所まで。
「莉茉、結婚しよう。」
莉茉の中にあるのは、俺の存在だけで良いのだから。