寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、私のもの…?」
震える莉茉の手が、俺の頬へと伸びる。
「あぁ、莉茉のものだ。」
「っ、嬉しい。」
莉茉の瞳の中に宿るのは、狂気の光り。
………………それで、良い。
ゆるりと、口角を上げる。
「………なら、もう、私も絶対に暁を離してあげないんだから。」
俺の首の後ろに両腕を回した莉茉が、強くしがみ付いてくる。
「………、暁は、私のものだもの。」
「あぁ、俺は、莉茉のものだ。」
ーーーーーお前自身を、差し出してくれるなら。
微笑み合った俺達は、どちらともなく、ゆっくりと互いの唇を重ねた。