寵愛の姫 Ⅲ【完】
「知って、る…?」
え、ちょっと、待ってよ。
頭が混乱する。
ねぇ、それって…。
………………私がお母さんにされていた、あの虐待に近い行為を、お父さんが知ったって事?
「っ、そ、んな…。」
うそ、でしょう?
身体が戦慄く。
目の前が、ぐらりと、揺らいだ。
何で、どうして?
お父さんを知るはずがないのに…。
あのお母さんが、上手く隠し続けた真実を、何で知っているの?
「………、莉茉…。」
混乱する私の髪を、暁の大きな手が撫でた。