寵愛の姫 Ⅲ【完】



“家族の一員”




それは、私にとって一番、縁遠い言葉で。



『何で私はあんたなんか生んでしまったのかしら。』


母の声が蘇る。



生みの両親からさえ、私は家族として受け入れてもらえる事はなかった。



『あんたなんか生まれてこなければ良かったのよ。』



一番、私に冷淡だったのは母で。




向けられる蔑むようなその冷たい瞳と言葉に何度、胸を痛めたんだろうか。
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