寵愛の姫 Ⅲ【完】


「水瀬さん?」


「………。」


「貴方には、莉茉の父親としての、最後の役目を終えて下さい。」



婚姻届を指し示す。





全ては、今日の為。






莉茉と一緒に取りに行った婚姻届には、お互いの全ての記入が終わっている。





………………問題は、保護者の欄だ。



「莉茉は、まだ未成年なので、父親である水瀬さんのサインを頂きたい。」



後は、未成年てある莉茉の欄の、保護者の方へとがあれば、この婚姻届は完成する。



「………………っっ、娘はまだ学生なんだぞ?」


「えぇ。」


「っ、なのに、結婚だと?」


「だったら、何ですか?」



かっとしたように立ち上がった父親が睨み付けるのを、俺はどこまでも冷めた目で見返した。
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