寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………。」
ぐっと、口をつぐむ父親は、理解している。
俺から莉茉を奪えば、自分がどうなるか。
………その末路を。
己の経営する会社だって、只では済まされない事だって、目の前の父親は理解している。
「ーーーーーさぁ。」
ゆるりと、口角が上がる。
あんたの人生も、返事次第。
保身を取るか。
莉茉を、俺から奪うか、その2択。
「どう、なさいますか?」
まぁ、そうなったら。
………………俺から莉茉を奪おうとした瞬間、徹底的に壊滅に追い詰めるがな。