寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
………………やっとだ。
これで莉茉が高崎の姓になり、俺だけの女になる。
「ーーーーこれで良いだろ?」
差し出される、婚姻届。
さっと、目を通す。
「………えぇ、ありがとうございます。」
きちんと記入を済ませて差し出された婚姻届を、俺は笑みを浮かべて受け取った。
自分の保身の為に動いた父親を、心底、蔑むが。
そのお陰で、楽に莉茉が手に入ったのだから、悪い気はしない。
そのまま、
ーーーーー愚かな人間のままでいてくれよ?
莉茉が一生、気に病む事のないように。