寵愛の姫 Ⅲ【完】


「水瀬さん。」


「………まだ何か?」



憮然とする父親に、ふっと、口角を上げ、俺は笑みを浮かべる。



「今日にでも、この婚姻届は提出します。」


「………………、そうか。」


「えぇ、ですので。」



笑みを掻き消した俺は、目の前の父親へと強い眼差しを向けた。



「ーーーーーーこれ以上、莉茉に関わるのは、止めて下さい。」



あんたが、莉茉に関わろうとする必要は、もう、ないんだよ。
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