寵愛の姫 Ⅲ【完】



「えぇ、勿論です。」



ゆっくりと、暁が秀麗に口角を上げて、お父さんに力強く、しっかりと頷く。



「莉茉は、必ず俺が幸せにします。」


「………、頼みます。」



小さく暁に頷いたお父さんの視線が、黙り込む私へと向けられる。



「莉茉、幸せになりなさい。」


「………うん。」



なるよ、絶対に。



「ーーーー暁と、幸せになる。」



暁と、夢見た明るい家族を作るよ。





あんな孤独で、寂しい家じゃなく。







ーーーー温かい家庭を。






暁と一緒に。
< 370 / 469 >

この作品をシェア

pagetop