寵愛の姫 Ⅲ【完】
「えぇ、勿論です。」
ゆっくりと、暁が秀麗に口角を上げて、お父さんに力強く、しっかりと頷く。
「莉茉は、必ず俺が幸せにします。」
「………、頼みます。」
小さく暁に頷いたお父さんの視線が、黙り込む私へと向けられる。
「莉茉、幸せになりなさい。」
「………うん。」
なるよ、絶対に。
「ーーーー暁と、幸せになる。」
暁と、夢見た明るい家族を作るよ。
あんな孤独で、寂しい家じゃなく。
ーーーー温かい家庭を。
暁と一緒に。