寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
暁の胸元に自分の顔を埋めても、私の中の、言い知れぬ不安感と、恐怖心はなくらなくて。
落ち着かない気持ちにさせる。
「………暁。」
「どうした?」
「早く、婚姻届を出しに行こう?」
ゆっくりと、埋めていた胸元から顔を上げ、暁にすがるような目を向けた。
早く。
誰にも邪魔される前に。
「………あぁ、行こう。」
暁が驚きを露にしたのは、一瞬で。
直ぐに柔らかい表情を浮かべた。