寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………………ねぇ、神無。」
目の前の親友を小さな声で呼べば、神無がゆっくりと後ろに振り返る。
「うん?」
「あの、聞きたいんだけど。」
「何?」
神無が首を傾げた。
「文化祭って、やるの?」
「勿論、やるよ?」
「………いつ?」
嫌な予感がする。
………………えぇ、思いっきり、ね。
「あぁ、莉茉は桜樺の文化祭をやるの、これが初めてだもんね?」
「………うん。」
「桜樺の文化祭は、毎年、10月の初めだよ?」
にっこりと、神無が微笑んだ。