寵愛の姫 Ⅲ【完】
「朔、莉茉にメイド服とは、良い度胸だな?」
電話の出た相手、朔に対して、俺の声が低くなるのは、致し方ない事。
「あれ?」
「あ?」
「何だ、もしかして、もう、莉茉さんに衣装の件、聞いちゃったの?」
電話越しに、くすくすと朔が笑い声を上げる。
………………こいつ、この状況を面白がってやがんな。
「おい、絶対ぇ、俺は莉茉にはメイド服なんか着させねぇからな?」
「えぇ!?」
「あ?文句あんのか?」
「だって、莉茉さんがメイド服を着たら、お客さんが増えて、売り上げが良くなるのに。」
憤る俺に、朔が批難の声を上げた。