寵愛の姫 Ⅲ【完】
「朔。」
「うん?」
「次にお前の女に会ったら、覚えてろよ?」
朔の弱点は、彼女である女。
これを、使わない手はない。
………………色々と、吹き込んでやる。
にやりと、俺は口角を上げた。
「………は?」
「楽しみだな、朔?」
「っっ、ちょ、兄貴ーーーー」
慌てたような朔の声を尻目に、俺は通話を切ることで、続きの言葉を遮断する。
………………ふっ、ざまぁみろ。
そのまま、慌てふためけば良いんだ。