寵愛の姫 Ⅲ【完】
「暁…?」
自分の名前を呼ばれて視線を隣に向ければ、目を丸くする莉茉の姿。
「朔に電話?」
「あぁ、文化祭の衣装は、変更になったぞ?」
「え、本当に?」
「あぁ。」
「…そっか、良かったよ。」
ほっとしたように、身体から力を抜いた莉茉が、その顔を緩ませる。
「流石にメイド服は、恥ずかしいしね?」
「………俺が他の奴等がいる文化祭で莉茉に、そんな服を着させる訳がないだろ?」
想像しただけで、胸糞が悪ぃ。
眉をひそめた俺は、莉茉の腰を引き寄せた。