寵愛の姫 Ⅲ【完】


「ねぇ、名前は何て言うの?」

「………。」



私へと、伸ばされる手。





それに、顔をしかめる。







だからって、彼等をどうこうする事は、私には出来なくて。



「………。」



顔を歪ませままま、その伸ばされる手を、私は見つめるしかなかった。






ーーーー嫌だ。




込み上げる不快感。




触られたくない。


「………、」



………………どう、すれば良い?





黙ったまま、打開策を考え込んでいた私は、全く気が付かなかった。







顔を険しくして、近付いて来ている“彼”の存在に。
< 415 / 469 >

この作品をシェア

pagetop