寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
その声に、はっと後ろを振り返る。
そして、目を見開いた。
もう、来ちゃったの?
………………暁。
「っ、暁…。」
そう思ったのは、一瞬で。
冷たい瞳で男の子達を睨み付ける暁の姿に、私の身体の強張りが抜けた。
「「「っっ、」」」
私の肩に触れようとしたまま、固まる男の子達。
あまりの暁の剣幕に、教室内がしんと、静まり返り、誰もがその顔に怯えを滲ませる。
「ーーーー莉茉に触れるな。」
怒気を孕んだ声色で、男の子達を威嚇した暁が、私に伸ばされたままの手を、叩き落とした。