寵愛の姫 Ⅲ【完】
「ねぇ、さっきの俺達のやり取りを、ちゃんと聞いてたよね?」
「「………。」」
「ふふ、君達、馬鹿だね?」
くすりと、馬鹿にしたように鼻で笑った俺に、男達の目に怒りの色が宿る。
「………………何で、あんたにそんな風に言われなくちゃならないんだ?」
「………さぁ?」
「っっ、俺達を馬鹿にして、一体、あんたは誰なんだよ?」
「俺?」
敵意を隠さず、苛立ちを露にした男達に、俺は笑みを深めた。
「俺の名前は、高崎朔。」
「た、高崎?」
「そう、“兄”から許可が出たから、君達は、このまま帰れないよ?」
高崎の名前に怯えを滲ませた男達に、俺はふわりと、柔らかく微笑んだ。