寵愛の姫 Ⅲ【完】
ーーーーーだが。
「………。」
ちらりと、周囲に目をやる。
食事を終わらせて、ご機嫌に歩く莉茉に、集まる多数の視線だけは、鬱陶しい。
男は、欲情を孕んだ瞳を。
女は、嫉妬に歪んだ顔を向ける。
「………………莉茉?」
莉茉の細い腰を引き寄せて、周囲に見せ付けるように、自分の腕に力を込めた。
「うん?」
「次は、どこに行きたい?」
………………こいつは、俺のもんだ。
沸き上がる、独占欲。