寵愛の姫 Ⅲ【完】
「うん、と、吹奏楽部かな?」
「吹奏楽部?」
「うん、屋上で演奏するんだって。」
莉茉の瞳が輝く。
「夕陽をバックに、色んな演奏が聞けるみたい。」
「へぇ。」
肝心する。
俺らの時は、普通に体育館での演奏だったのにな。
「校庭から、吹奏楽部の演奏が見れるみたいだよ?」
「もう、演奏は始まるのか?」
「えっと、3時からだったと思う。」
「………3時。」
自分の腕時計に、俺は目線を落とした。