寵愛の姫 Ⅲ【完】
「ーーーもうすぐ、3時だな。」
「うん。」
「丁度良いから、このまま校庭に行くか。」
「…暁、良いの?」
「あぁ。」
その瞬間、ぱっと、俺を見上げる莉茉の顔に満面の笑みが広がっていく。
「やった、ありがとう、暁。」
喜びを隠す事のない莉茉が、俺の腕に擦り寄る。
「…そうだ、暁?」
「ん?」
「暁も食べる?」
にっこりと微笑んだ莉茉が、俺に綿菓子を差し出す。
「…ん。」
ぱくりと、莉茉が差し出した最後の綿菓子を口に含めば、甘さが口内に広がった。