寵愛の姫 Ⅲ【完】


「莉茉、帰るぞ。」



一刻も早く、甘い莉茉の身体を味わい尽くしたい。





止まる事を知らない、欲求。



「っ、でも…。」

「うん?」

「………、まだ、吹奏楽部の演奏、見てないし…。」



莉茉が目を泳がせる。





欲情を孕んだ瞳で抗うのは、まだ俺に溺れきっていないからか。



「………………まだまだ、だな。」

「………?」



ふっと、自嘲気味に笑った俺を、不思議そうに見上げる莉茉の頬を撫でた。
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