寵愛の姫 Ⅲ【完】
「莉茉。」
「うん?」
「俺にとって、文化祭なんてどうでも良い。」
俺の全ては、たった1人。
この腕の中にいる、愛おしい女にだけ、向けられる。
そこに、理性も。
道徳だって、俺には、関係ない。
「俺にとって大事なのは、莉茉だけだ。」
「………暁…。」
莉茉の瞳が歓喜に揺れるのを見て、俺はゆっくりと顔を近付いていく。
お互いの息遣いが分かる距離で止め、その場で、じっと見つめ合う。
「………莉茉は?」
お前は、違うのか?
回りから上がる悲鳴や、ざわめきを意識の外に排除して、莉茉に甘く問うた。