寵愛の姫 Ⅲ【完】
「………ち、がくは、ないけど…。」
「けど?」
「折角、暁と一緒に回れる文化祭を、もう少し楽しみたいの。」
視線をさ迷わせる莉茉の、可愛らしいおねだりに、俺の頬が緩む。
「そうか。」
「うん、あっ…。」
「ん?」
「最後に、大雅さんと銀次さんにの2人に、お土産を買わなくちゃ。」
はにかむ莉茉に、俺の中で、大雅と銀次さんに怒りが込み上げる。
土産だと?
「………チッ、あいつらに、莉茉からのお土産なんかいらねぇよ。」
あいつら2人の事を、何かと莉茉が気に掛けるのが、ムカつく。