寵愛の姫 Ⅲ【完】
衝撃
「莉茉。」
先に車から降りた暁が振り返り、私へと、自分の手を差し伸べる。
それは、いつもの事。
「ん、ありがとう。」
ふわりと、微笑んで。
その、差し伸べられた暁の手を握り締めれば、引き寄せられる、私の身体。
「………ふふっ。」
小さく、笑みをこ溢す。
すっぽりと、暁の温かさと匂いに包まれる、この瞬間が好きだ。
守られている、安心感。
そして、
ーーーーー愛されている、幸福感。
少しの照れ臭さはあるけれど、そんな幸せを感じられて、与えてくれるから。