寵愛の姫 Ⅲ【完】
「お疲れさまでした。」
「またね、莉茉ちゃん。」
頭を下げる銀次さんと、にこにこ笑顔で手を振る大雅さんに見送られ、暁に肩を抱かれた私は歩き出す。
「………………あっ…。」
駐車場のエレベーターで立ち止まった時、思い出した、その存在。
ーーーーお土産を。
「どうした、莉茉?」
唐突に声を上げた私の顔を、暁が不思議そうな表情で覗き込む。
………………ヤバイ。
すっかり、忘れてた。
自分の鞄の中を、焦りながら漁る。