寵愛の姫 Ⅲ【完】
「っっ、」
はっと、立ち止まる。
………………いた。
遠目だけど、間違いない。
私の目線の先には、丁度、携帯電話で会話をしている大雅さんの姿。
「よ、かった、まだ帰ってなかった。」
ほっと、胸を撫で下ろす。
これなら、2人にお土産を渡せる。
笑みを浮かべ、私が一歩、足を前に踏み出した時、真横から飛び込んで来た“影”。
「っっ、いっ、た…。」
その“影”とぶつかった衝撃の後、腰の辺りに激痛が私を襲った。