寵愛の姫 Ⅲ【完】



「莉茉、大丈夫か?」



「……暁…」



身体をびくつかせた莉茉の顔を覗き込めば、その表情が和らぐ。



「大丈夫だ、莉茉。こいつらは、顔は厳ついけど、皆良い奴等だから。」



「うん。」



頷いた莉茉の視線がゆっくりと、組員達の方へと向けられた。



「あの、」



俺の裾を掴む莉茉の手に力が入る。



「……莉茉です、よろしくお願いします。」



おずおずと控え目に頭を下げた莉茉に、組員達の厳つい顔が一斉に緩む。
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