寵愛の姫 Ⅲ【完】


「…………大きい…。」



組員達を睨み付ける俺の隣から、呆然としたような莉茉の声が零れ落ちた。



「……?」



大きい?




その、小さな呟きに、視線を隣に落とす。



莉茉の目は、俺の実家に向けられていた。




どうやら、さっきの呟きは、目の前の家についての事らしい。



「「た、助かった!!!」」


一方、


俺の睨みから解放された組員達が、安堵の息を吐いたのを、気付く事はなかった。
< 52 / 469 >

この作品をシェア

pagetop