寵愛の姫 Ⅲ【完】
「これが普通って……。」
莉茉が顔をひきつらせる。
「……そうだよね…。」
「莉茉?」
「暁はこの大きな家で暮らしてたんだもん、見慣れてるんだよ…。」
何かを納得させように小声でぶつぶつと呟く莉茉が、何度も頷く。
………面白れぇ。
そんな莉茉の様子に、俺は込み上げる笑いを堪える。
「ほら、莉茉行くぞ。」
「う、うん。」
戸惑う莉茉の肩を抱いて、俺は慣れ親しんだ実家へと足を踏み入れた。