寵愛の姫 Ⅲ【完】


「これが普通って……。」



莉茉が顔をひきつらせる。



「……そうだよね…。」



「莉茉?」


「暁はこの大きな家で暮らしてたんだもん、見慣れてるんだよ…。」




何かを納得させように小声でぶつぶつと呟く莉茉が、何度も頷く。




………面白れぇ。



そんな莉茉の様子に、俺は込み上げる笑いを堪える。



「ほら、莉茉行くぞ。」


「う、うん。」



戸惑う莉茉の肩を抱いて、俺は慣れ親しんだ実家へと足を踏み入れた。
< 55 / 469 >

この作品をシェア

pagetop