寵愛の姫 Ⅲ【完】



「朔、と呼び捨てで構いませんよ?」


「え…?良いの?」


「えぇ、莉茉さんのは兄の大切な方ですから。」


「じゃあ、朔?」



恐る恐る呼べば、朔はにっこりと笑みを浮かべた。



「これからよろしくお願いしますね?莉茉姉さん。」



それは優美な仕草で笑みを深めると、朔は首を傾げる。



「っ、うん、よろしくね?」



朔の“莉茉姉さん”のフレーズがくすぐったくて、嬉しかった。
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