寵愛の姫 Ⅲ【完】
本性ー暁sideー
「今日は、莉茉ちゃんが来るから、腕に縒りをかけてご馳走を作ったの。」
「ありがとうございます、お母さん。凄く美味しそうですね。」
「まぁ、ありがとう。」
にこやかに微笑み合う莉茉とお袋を横目に、静かに酒を飲む。
「美夜の料理は、どれも美味しいから、きっと莉茉さんも気に入ると思うよ?」
そんな2人にデレデレとしながら会話に入る親父は、組長の威厳が微塵も感じられない。
本人は、全く気付いてないが。
「「……。」」
そのせいで、ちらちらと組員達の何か物言いたげな驚愕に満ちた視線を、一心に集めていた。