寵愛の姫 Ⅲ【完】
唯一の救いは、会話に夢中で莉茉がそれに気が付いてないって事だな。
「…………、もう、頼さんったら。」
親父のお世辞に、年甲斐もなく頬を染めるお袋。
「うん?美夜、本当の事だろう?」
「でも、恥ずかしいわ。」
「そうか?」
恥ずかしがるお袋を、愛おしむように見つめる親父。
年がら年中、いちゃつく2人に俺はげんなりとするしかない。
「お父さん達、とても仲が良いんですね?」
くすくすと笑う莉茉に、親父は気まずそうに目を宙に向け、お袋は照れくさそうに微笑んだ。