寵愛の姫 Ⅲ【完】
「まぁな。で?その神無とは、今も付き合ってんのか?」
「勿論。」
「…そうか。」
ほっと、俺は胸を撫で下ろした。
嫌いじゃねぇ、弟の朔とは、敵として対立はしたくない。
勿論、負けるつもりはねぇけどな。
「それに、莉茉さんの瞳には、兄貴しか映ってないでしょう?」
「瞳?」
怪訝そうに朔を見れば、楽しそうに笑う。
「そ、兄貴と同じ俺の目元を見て、強張っていた顔を綻ばせるぐらいだし?」