寵愛の姫 Ⅲ【完】


「………。」



そう、なのか?





確かに、俺と朔の目元はお袋に似ていると言われるが。



「まぁ、尊敬する兄貴のお嫁さんになる予定の莉茉さんを奪うつもりも、神無を裏切るつもりもないからさ。」



柔らかく朔は目を細める。




自分の女が心底、愛おしいと言わんばかりの表情で。



「そう、か。」



安堵の溜め息を吐き出した俺は、朔がまた継ぎ足した酒をゆっくりと味わった。
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