寵愛の姫 Ⅲ【完】



「くくっ、あぁ。」



暁にすり寄れば、強まる腕の力が心地良い。




ぴったりとくっつき、心音に耳を傾ける。




「……暁?」


「ん?どうした?」



頭にもう一度、暁に口付けられた気がした。



「…………駄目かもしれない。」


「うん?」


「暁が足りない。」




もっと強く。



暁の温もりに包まれたい。





……………この、胸の内に巣くう不安がなくなるように。
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