寵愛の姫 Ⅲ【完】



「莉茉。」


暁の手が私の顎に触れ、そっと持ち上げる。



「不安か?」



暁の漆黒の瞳が私を見下ろす。



全てを、見透かすように。



「……、ん。」


全てを見透かすような瞳で私を見つめるから、暁に素直に頷く。



桜樺には、茉莉はいないって分かってる。





ーーーーでも。



「上手く、話せるかな?」



不安はなくならない。
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