寵愛の姫 Ⅲ【完】




「……何で、暁に電話するの?」



怪訝に顔を上げれば、優しい眼差しで暁は私を見つめていた。



「直ぐに、俺が莉茉を迎えに行ってやる。」



「え…?」



目を丸くする。



迎えに…?



「……っ、でも、お父さんとの約束なのに…。」



「俺にとっては、親父との約束よりも莉茉の方が大事なんだよ。」


「………暁…。」



引き寄せられ、ゆっくり包み込む暁の腕に、私は素直に身を任せた。
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